たつのの有名人＆達人

Ａ　；高校時代、柔道部に所属されたとお聞きしましたが、クラブでの思い出はどんなことがありますか？

丸山；きつかったですよ。入ったきっかけは、不良グループに“ちょっと時計を見せてみい”とか言われたりして、“このままだとナメられてしまうな。これはちょっと対抗せなあかんな。力をつけないといけないな”と思い柔道部に入ったんですが、上級生によくシゴかれましたよ。

Ａ　；どんな風にですか？

丸山；一日に３度ぐらい落とされました。つまり首を絞められて失神するんです。“参った、参った”と言ってもやめてくれないんです。最後まで、気絶するまでやるんですよ。

Ｃ　：えーっ!

丸山；一回目は怖いんですよ。上手い人がやるとストンといくのですが、下手だと痛くて痛くてね。気絶するまでに時間がかかるんです。（一同、“ヘェー”） しかし、どういう訳か段々のめり込んでいって、３年間続け、柔道部長も務めました。

Ａ　；黒帯ですか？

丸山；そうです。入った時は、同級生が十数人いましたが、ほとんどやめましたね。 通学に４０分かかりますし、授業中にも居眠りをしていて、よく叱られましたよ。

Ａ　；大学ではクラブはどうされたのですか？

丸山；クラブには入らなかったです。柔道部に未練がちょっとあったんですが、折角東京に出てきたのに、またあの時のように首を絞められるのはどうかな？と思いました。（一同爆笑）柔道でも高校とはスケールが全然違いました。もうちょっと文科系の華やかな部に入りたいと思いました。

Ａ　；では勉学一筋だったんですか？

丸山；学園紛争が盛んな頃で、入学してずっと授業がなくて、バリケードがあって校舎にも入れないんです。レポートばっかりでした。華やかなことはあまりなかったです。
司法試験云々と言うより東京に行きたくて大学に入ったんです。東京に行けたということで、目標を達成したみたいな気持ちになり、そうこうしている内に２年が過ぎてしまいました。その後司法試験を受けようということで新たな目標が出来た訳です。それも友だちがやりだしたので自分もやりだしたというのが発端です。

Ｂ　；友だちに引きずられたんですか？初めから志を持ってやっていたのと違うんですか？

丸山；（頭をかきながら）いやー、すべて志は無いんですよ。（一同爆笑）今回（参院選挙の立候補）もね。（一同、再度爆笑）志は後から出来てくる。

Ａ　；なるほど。

丸山；同級生と下宿してね、彼は夜型で夜８時頃から明け方の５時ぐらいまで勉強しているんです。私は早寝早起きのタイプだったんですが、やはり１つの部屋なので早く寝られないんですよ。じゃ勉強だけ付き合おうと思って同じようにやりだしたんです。やっていく内に段々自分もその気になってきました。自分としても“昼夜逆転で人が眠っている時に勉強している”ということで、何かスゴイことをやっている気になってね。人が働いている時に眠っているから一緒なんですけど。（笑）そういう感じで段々深みにはまったのです。まあ、青春でしたね。

Ｂ　；それで司法試験に見事合格されたのですね。

丸山；いや、見事にすべった。（一同爆笑）受けたんですがそのレベルに達していなかったようです。その同級生はしっかりしていて就職試験も受けていて就職しました。驚きましたよ。彼は、“自分のことは自分で考えろ”と言うんで、仕方ないから勉強を続けて３度目で合格しました。弁護士になって大阪で３年間過ごしました。その当時貿易商社の関係で海外の案件を扱うこともあり、片言の英語ではダメだなと思うようになりました。また、自分は弁護士に向いているのかなとも思っていました。テレビに一緒に出ている北村弁護士のように弁護士になりたくてなった訳ではないのです。弁護士になったのも、司法試験という“目標”が出来、“挑戦すること”が面白かったのです。合格してしまうと“目標”がなくなってしまったんです。現実の仕事はちゃんとやっていますが、先輩の方々を見ていると１０年２０年先はこうなるんだなぁと思い、ちょっと面白くないなぁという気持ちになりました。もう一回再出発してみたいと考え、先ほど言ったように“やるんなら海外だ”と思ってアメリカに行きました。

Ａ　；現地の弁護士事務所に行かれたのですね。

丸山；いやいや、向こう（ワシントン）のロースクール（法律の専門大学）へ入学しました。２年間大学院で勉強し、ロサンゼルスの法律事務所で３年間仕事をしました。

Ｂ　；その時は英語がしゃべれたのですか？

丸山；アメリカへ行く時は不十分で四苦八苦しましたが、ロスで仕事をしだして初めて上達しましたね。電話がかかってきて、相手とのやりとりで向こうが文句を言ったりこちらが説明したりして会話も出来るようになりました。

Ｂ　；話は少し変わりますが、奥さんとの出会いはどこでしたか？

丸山；どこというのは難しいんです。“公海上”ということです。船の中です。当時、司法試験に合格した後、法務局の研修で日中青年交流の船というのに乗っていたら家内が来ていた。大きな船でなかったので結構ゆれてね、船酔いでゲーゲーやっている体調が悪い時に知り合ったんです。だからぼくは“船酔い婚だ”と言っているんです。（一同爆笑）

Ｂ　；これも自分の意思じゃないということですか？

丸山；そうです。船酔いのせいです。両方ともゲーゲーやっていましたから。